【身体はなぜ変わるのか・第9回】「治す」より、”動ける身体へ戻す”

動ける身体へ戻す 施術への想い
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「治してください」と言われるたびに、少し考えます。

「治すというより、戻すんです」と言うと、「……どう違うんですか?」とよく聞かれます。

うまく言えなくて申し訳ないのですが、この違いが私にとってはかなり大事で。


不調の身体は「壊れている」のではない

痛みがあるとき、身体は全体で適応を始めます。

庇う。固める。力を逃がす。動きを制限する。

これは身体が壊れているのではなく、「なんとか今の状態を維持しようとしている」反応です。不調の身体は、むしろ頑張りすぎていることが多い。

だから、単に痛みを消すことだけを目的にすると、どこかがずれる感覚があります。身体が「なぜそう動いているか」を無視して、結果だけを変えようとすることになる。


「動ける状態へ戻す」という感覚

私が大切にしているのは、「動ける状態へ戻れるかどうか」です。

施術中に、「あ、力が抜けた」「呼吸しやすい」「立つのが楽になった」「勝手に動く感じがする」という変化が出てくることがあります。

これは単なる症状の変化ではなく、身体全体の制御が変わり始めた反応だと思っています。

人の身体は、本来もっとなめらかに動けるものです。ただ、疲労・ストレス・痛みの積み重ねによって、本来の動き方を忘れてしまう。施術でやっているのは「思い出せる条件を作る」ことに近いのかもしれません。


「自分が治している」という感覚はない

正直に言うと、「自分が治した」という感覚はあまりありません。

身体が本来持っている制御・動きやすさ・滑走性・バランスを、取り戻しやすい条件を整えている感覚です。だから施術後に起きる変化は「無理に変えられた」ではなく、「身体が自分で戻った」という感覚に近くなる。

これは鍼灸でも手技療法でも、同じことが言えます。どちらも、身体の自然な回復を「邪魔しない」「条件を整える」アプローチだと思っています。


このシリーズを通して言いたかったこと

9回書いてきて、結局言いたかったのは一つのことです。

施術とは、身体との対話だ。

一方的に力を加えるのでも、マニュアル通りに進めるのでもなく。身体が何を庇っているか、何をしたがっているかを読みながら、一緒に変化していく。

手技療法で運動器に届き、鍼灸で内科的な調整を補い、「分かってもらえた」という安心感が防御を解く。

それが重なったとき、身体は本来の動きを取り戻し始めます。

「どう違うんですか?」という質問への答えが、これです。「治す」は何かを加えるイメージ。「戻す」は、もともとそこにあったものを取り戻すイメージ。

「動ける身体へ戻す」——それが私の仕事だと思っています。

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シリーズ:身体はなぜ変わるのか


【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の症状の診断・治療効果を保証するものではありません。

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