【身体はなぜ変わるのか・第1回】「そこです」と言われる理由

施術中に患者の背中に触れる 施術について
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「僕がわざと痛いことをするように見えますか?」と患者さんに聞いたことがあります。

「見えます!」と即座に言われました。

ひどい誤解もあるものだ、と思いながら、不思議なことに10人聞いたら10人にそう言われます。なぜでしょうか。

まず、わざとではありません。弁解しておきます。


「痛い場所」より「耐え方」を見る

不調がある身体は、無意識に適応を始めます。

痛みを庇う。力を逃がす。呼吸が浅くなる。重心が偏る。

すると、本当に負担がかかっている場所だけでなく、周囲まで緊張し始めます。「痛い場所」は結果であって、原因ではないことも多い。

だから私は、症状そのものより「身体が今、どう耐えているか」を先に見るようにしています。

少し動いてもらう。触れてみる。その反応を見ながら、施術の方向を修正していく。

問診→検査→施術という順番ではなく、動作観察・触診・仮説の修正が同時に進んでいます。頭で分析しているというより、身体全体で情報を拾っている感覚に近いです。


「そこです」の意味

患者さんが「そこです」と言う瞬間は、二つのことが重なっています。

一つは、触れた場所が本当に負担を抱えていること。もう一つは、「分かってもらえた」という感覚が身体に生まれること。

後者が意外に重要です。

長く不調を抱えている方は、「うまく説明できない」「検査では何も出なかった」という経験を持っていることがあります。説明しても伝わらない。触れてもらえない。そういう経験が積み重なると、身体はさらに防御的になります。

「そこです」の瞬間は、その防御が少し緩む瞬間でもあります。


「当てること」が目的ではない

「そこ」を見つけることは、出発点にすぎません。

本当に大切なのは、そこから身体がどう変わっていくか。

表面の緊張を緩めても、深部の動きにくさが残っていれば、身体はまた元に戻ろうとします。そのため私は、施術者自身の姿勢と重心を使いながら、深部まで圧を届けることを重視しています。

強く押したいわけではありません。必要な場所へ、身体が受け入れられる圧を届けたい。その結果として、「痛いのに抜けていく」「奥の詰まりが動いた」という感覚が生まれることがあります。

……そういうわけなので、わざとではないのです。ただ、届いてほしい場所へ届けようとしているだけで。信じてもらえるまで、もう少し時間がかかりそうです。

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次回|第2回:なぜ表面だけほぐしても戻りやすいのか

「施術直後は楽になるのに、翌日には戻っている」——その理由は、深部にあります。


シリーズ:身体はなぜ変わるのか

  • **第1回**:「そこです」と言われる理由(この記事)
  • 第2回:なぜ表面だけほぐしても戻りやすいのか
  • 第3回:「押す」のではなく、「繋がる」
  • 第4回:手技療法と鍼灸——届く場所が違う
  • 第5回:なぜ「強く押されたい」と感じる人が多いのか
  • 第6回:なぜ説明より”受けた瞬間の納得感”を重視するのか
  • 第7回:身体は”分かってもらえる”と緩む
  • 第8回:なぜ施術では”考えすぎない”ことが大切なのか
  • 第9回:「治す」より、”動ける身体へ戻す”

【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の症状の診断・治療効果を保証するものではありません。

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