施術後に、「何をしてもらったかよくわからないんですけど、なんか楽です」と言われることがあります。
複雑な気持ちになります。
……が、実はこれが一番うれしい感想のひとつです。慣れてきました。
身体は説明では変わらない
どれだけ丁寧に説明しても、身体が変わらなければ患者さんは納得しません。逆に、説明が少なくても「あ、変わった」という体験が起きれば、身体はそれを理解します。
「分かってもらえた」という感覚が、言葉より先に来ることがある。
特に不調が長く続いている方は、頭の中がすでに疲れていることが多い。「なぜ治らないのか」「どうすれば良くなるのか」を考え続けて、身体より先に脳が限界に来ている。
そこに言葉をさらに積み重ねると、処理できずに終わることがあります。
施術中に脳のリソースを使わない
私は施術中、意識的に「考えすぎない」ようにしています。
患者さん側にも、同じことが言えると思っています。
「今どんな状態ですか」「痛みは何点ですか」「どこが変わりましたか」——こういった質問を施術中に重ねると、患者さんは頭で考え始めます。すると身体の感覚が鈍くなる。
だから私は、触れた瞬間の緊張、呼吸の変化、圧が通る方向、抜け始めるポイントを観察しながら、その場で施術を修正していきます。患者さんに「今どうですか」と聞くより、身体の反応が直接教えてくれる。
「受けた瞬間の納得感」が後から言語化される
施術後に「なんか変わった気がします」「何をしてもらったのかわからないけど楽です」という感想をいただくことがあります。
これが、私が大切にしている納得感の形です。
理屈が先ではなく、体験が先。身体が変化した後から、言葉が追いついてくる。
「なんで分かるんですか?」「なんで外さないんですか?」と聞かれることがあります。考えて当てているというより、身体の反応を邪魔しないように見ている感覚に近い。それが、説明より体験を先に置く理由のひとつです。
「何をしてもらったかわからない」——それが、私が目指している施術の形かもしれません。複雑な気持ちになりながら、今日もそこを目指しています。
次回|第7回:身体は”分かってもらえる”と緩む
「分かってもらえた」という感覚が、身体に何をもたらすのか。防御は、言葉では解けません。
シリーズ:身体はなぜ変わるのか
- 第1〜5回:シリーズ一覧はこちら
- **第6回**:なぜ説明より”受けた瞬間の納得感”を重視するのか(この記事)
- 第7回:身体は”分かってもらえる”と緩む
- 第8回・第9回:続く
【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、特定の症状の診断・治療効果を保証するものではありません。


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