私には、ずっと心に残っている経験があります。
難病を抱えた患者さんと、長く関わらせていただいたときのことです。
現代医学でできることを、できる限り尽くしました。でも、それだけでは足りない場面が、確かにありました。痛みが取れない。症状が進む。それでも、その方は諦めずに前を向いていた。
そのそばで、私は自分の無力さと、それでも何かできるはずだという気持ちの間で、ずっと考え続けていました。
現代医学にできること、できないこと
理学療法士として、そして鍼灸師として、私は両方の世界を知っています。
現代医学は、目に見えるものに強い。検査値、画像、数字。それをもとに診断し、治療する。これは本当に大切なことで、私はその力を信じています。
でも、「数字に映らない不調」があることも、現場で何度も目にしてきました。検査では異常なし。でも、明らかにつらそう。そういう方が、「気のせいだ」と言われて帰ってくることが、実際にあるのです。
わからないことを「ない」とは言えない。それが、私の正直な立場です。
諦めない、ということ
できないことは、正直に伝えます。器質的に戻せないもの、現時点の医学では難しいもの——それを誤魔化すことはしません。
でも、「わからない」と「諦める」は、違います。
わからないから追い求める。やってみなければわからないことに、全力で向き合う。それが、私が施術者として選んだ姿勢です。
鍼灸の効果は、すべてが解明されているわけではありません。でも、経験的にも、実際の臨床でも、確かな手応えがある。証明できないから意味がない、とは私には言えません。
「身内に選べるか」が、私の基準
施術の判断をするとき、私が自分に問うことがあります。
「自分の身内が同じ状況なら、この施術を選ぶか」
これが、私の基準です。
大切な人に勧めたくないことは、患者さんにもしない。大切な人に正直に伝えることは、患者さんにも正直に伝える。
難病の方と向き合った経験が、私にこの基準を教えてくれました。
あなたの気持ちを、大切にしたい
体の不調は、気持ちに影響します。そして気持ちの状態は、体の回復にも関わってきます。
「また行っても同じだろうな」と思いながら来ている方に、「また来てください」とは言えません。
一緒に考えて、一緒に向き合う。それが、私のできることだと思っています。
最後に
「自分の身内にも、選んでもらえる施術を」——これは、私が毎回の施術で自分に課している言葉です。
もし今、体のことで悩んでいるなら、まず話を聞かせてください。責めることも、追い詰めることも、しません。
あなたの話を聞いて、一緒に考えます。
