血液検査の結果は正常。画像にも異常なし。でも「なんとなくだるい」「疲れが抜けない」「どこかが痛い」——そんな経験、ありませんか?
西洋医学は科学的根拠を重んじるがゆえに、数値や器質的な変化が確認できなければ、「病気」とは認めにくい構造になっています。内臓疲労が原因だとして「なんとなく調子が悪い」と訴えても、検査に引っかからなければ次の科へ、またその次の科へ、とたらい回しになってしまうことも少なくありません。
誤解のないように言っておくと、西洋医学が無意味だと言いたいわけではありません。薬や手術の恩恵は計り知れないですし、急性疾患や外傷に対する西洋医学の力は本物です。
ただ、「不定愁訴」——つまり、はっきりした原因が特定できないのに様々な症状が重なる状態——に対しては、正直なところ、西洋医学は得意ではありません。
そこで注目したいのが、東洋医学にある「未病」という概念です。
「未病」とは、完全な健康でも明確な病気でもない、そのあいだのグレーゾーンのこと。現代風に言えばまさに不定愁訴の領域であり、東洋医学はこの状態に何千年もかけてアプローチしてきた歴史があります。
「科学的」とは、そもそも何だろう?
ここで少し立ち止まって考えてみましょう。
理学療法の現場でも、「科学的に証明されている」とよく言われます。でも実は、確定的なエビデンスがあることは、思っているよりずっと少ないのが現実です。
たとえば「痛み」の評価。
臨床でよく使われる方法のひとつに、こんな質問があります。
「今まで生きてきた中で最大の痛みを10として、今はどれくらいですか?」
この数値、科学的だと思いますか?
痛みの感じ方は人それぞれです。出産を経験した人の「10」と、そうでない人の「10」は同じではありません。答えはどうしても「なんとなく、ざっくり」になります。それを数値化して記録し、「客観的データ」として扱う——これが現代医療の一場面です。
筋肉の硬さを機械で測るにしても、個人差があまりに大きく、「正常値」と比較することにどれほど意味があるのか、疑問が残ります。
「コリをほぐせば治る」とは限らない理由
筋肉の硬さには、実は大きく分けて二種類あります。
ひとつは、単純に筋肉そのものが疲労や姿勢の問題で硬くなっているケース。もうひとつが、「筋性防御」と呼ばれるものです。
筋性防御とは、内臓に不調があるとき、体がその内臓を守ろうとして周囲の筋肉を無意識に硬くする防御反応のことです。たとえば盲腸炎(虫垂炎)のときにお腹が板のように硬くなるのも、この仕組みのひとつです。
このタイプの筋の硬さは、いくら筋肉をほぐしても根本的な解決にはなりません。内臓側の問題が続く限り、体は筋肉を硬くし続けるからです。
さらに興味深いことに、この内臓と筋肉のつながりは「痛み」とも密接に関係しています。筋肉は触ってみると柔らかいのに、「とにかくコリがひどくてつらい」と訴える方が少なくないのはそのためです。筋肉の硬さという「見える問題」の裏に、内臓の疲労という「見えない問題」が潜んでいることがあるのです。
マッサージや施術を受けてもすぐ元に戻ってしまう——そんな方は、もしかするとこのケースかもしれません。
大切なのは「その人を診ること」
複雑な生体のバランスを、画一的な物差しだけで測ろうとすることには限界があります。
私が大切にしているのは、経験的な知恵・科学的な知見・そして現代で効果が認められつつあるもの——この三つを柔軟に組み合わせて使うことです。
東洋医学だから古くて非科学的、ではなく。西洋医学だから正確で万能、でもなく。
それぞれの強みを活かして、目の前の患者さんの「数字に映らない不調」にも、真剣に向き合っていきたいと思っています。
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現在、名古屋市・春日井市エリアへの訪問施術(水曜・日曜)を限定でご相談承っております。
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著者:野田 憲(ノダ ケン)
理学療法士・はり師・きゅう師。愛知県春日井市にて20年以上のキャリアを持つ。整形外科クリニックでのリハビリ勤務と並行し、KEN Acupuncture & Manual Therapyにて完全自費・完全予約制の施術を提供。大東流合気柔術で培った「力に頼らない体の使い方」を施術に応用している。

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