結論
保険が使える施術と、保険が使えない(保険外・自費)施術には、それぞれ役割の違いがあります。保険外を選ぶ方の多くは「安いか高いか」ではなく、「何を優先したいか」で選んでいます。
「保険が使えない」と聞いて、身構える前に
「保険が使えるなら、そっちのほうがいいのでは」——保険外の施術と聞くと、そう考える方は多いと思います。自然な感覚だと思いますし、保険が使えるならそのほうがいい場面もたくさんあります。
ただ、保険診療にはルールがあります。1回にかけられる時間、対応できる症状の範囲、施術者が一人の患者さんに向き合える時間——これらは制度として決まっています。悪いことではなく、そういう仕組みだということです。
保険外を選ぶ方に話を聞くと、共通しているのは「もう少し時間をかけて、自分の状態をちゃんと見てほしい」という思いでした。
なぜ保険外という選択肢があるのか
理学療法士としても、鍼灸師としても、保険診療の現場に長く立ってきました。その上で感じるのは、どちらが優れているという話ではないということです。
保険診療は、決められた時間・決められた範囲の中で、多くの人に医療を届ける仕組みです。ただ、実際に保険診療をやってきた立場から正直に言うと、書類や手続きにかかる手間が想像以上に多く、その割に一人の患者さんとじっくり向き合う時間は限られてしまう、というジレンマをずっと感じてきました。悪意があってそうなっているわけではなく、多くの人に公平に医療を届けるための仕組みが、結果としてそうなっている部分だと思っています。
保険外は、その枠を外れて、一人ひとりの生活や状態に合わせて時間を使える仕組みです。
訪問という形に限って言うと、もうひとつ理由があります。保険診療の訪問には、対応できるエリアや条件に規定があります。保険外であれば、その規定に縛られずに動けるので、結果として保険診療では手が届きにくい地域や状況の方にも伺えます。
訪問での保険外施術を選ぶ方には、次のような背景があります。
- 保険診療の範囲では対応しきれない、慢性的な不調を抱えている方
- 保険診療の訪問対応エリアの外にお住まいで、それでも訪問を必要としている方
- 移動そのものが負担で、通院という選択肢自体が難しい方
- 「症状だけ」ではなく、生活全体を診てほしいと考えている方
- 一つの医療機関で「様子を見ましょう」と言われ続け、次の一手を探している方
「保険が使えない」ことへの誠実な立場
保険が使えないことを、何かで取り繕うつもりはありません。金額に見合う価値があるかどうかは、実際に受けてみないとわからない部分が正直あります。
だからこそ、初回のご相談では、症状の話だけでなく「今どんな生活を送りたいか」から聞かせていただくようにしています。合う・合わないは、話を聞いた段階でもある程度お伝えできます。
証明できないこと、わからないことは、わからないと言います。それでも、経験的に・実際に、体が変わっていく方を数多く見てきました。保険外という選択は、その時間と向き合い方を選ぶことでもあります。
今日、ひとつだけやってみてほしいこと
もし「保険が使えないなら」と選択肢から外していたなら、一度だけ、症状の話をLINEかメールで聞かせてみてください。合うかどうかの判断は、そこから一緒に考えられます。
※本記事は訪問鍼灸・手技療法に関する情報提供を目的としたものです。効果の感じ方には個人差があります。症状によっては医療機関の受診をおすすめする場合があります。

コメント